サイトデザインを少し変更しました。ぎょっとされた方はすみません。
■樋脇由利子氏から取材を受けました。
前々からお話ししておりました、純文学作家の樋脇由利子氏から、福岡市総合図書館が発行している官報「文学館倶楽部」18号のコーナー「クローズアップ」用に取材を申し込まれ、7月20日に福岡市文学館にてお話ししてきました。以下にそのレポートを報告したいと思います。
■樋脇由利子氏とは・・・
樋脇 由利子 ひわき・ゆりこ
1951(昭和26)年6月7日、福岡県須恵町の生まれ。小説家。麻布獣医科大卒。大分県職員を経て、現在は主婦。30代半から小説の創作を開始。文芸同人誌「季刊午前」「えとわす」をへて現在は「胡壷・KOKO」「女たち」同人。福岡県須恵町在住。
(スカラベ人名事典より)
なんと、元獣医さんでした(゜Д゜)リケジョ! 現在63歳だとか(うちの母と同い年です)。お話しした印象としては、お世辞とかオブラートとかが苦手な、ちょっと天然(失礼?)の思った事を思った通りに話すタイプのように見えました。
■純文学の同人作家と、現代の同人作家の食い違い
取材を受ける上で、まず最初に樋脇さんから言われたのは「今の若者がやっている文芸は、私たちの知っている文芸同人とあまりにも違いすぎて混乱しています。こちら側にとって普通と思って発言したことが失礼な発言になるかもしれない」という事でした。怖い((゜Д゜;))実際結構きつい発言もちらほら受けました(食い違いなのか樋脇さんが口下手だからなのかはよく分かりませんでした)。
私が感じた違いは、以下の通りです。
(1) 1つの文芸サークルに、必ず1人の先生……ピアノで例えるならば、純文作家にとって文芸サークルとはピアノ教室のようなもので、1つの文芸サークルには必ず1人の先生が居ます。この「先生」になるために、特別な資格は必要ないのですが、文芸サークルに先生が居る事はほぼ常識だったようです。
(2) 定期的なレッスン……次に、ピアノ教室が毎週ピアノのレッスンを開くように、純文作家たちも定期的に合評会(自分たちの作品をプリントなりに書き出して先生から指導してもらう)を開きます。さきがけ文学会には存在していないものですね。Skype会議が唯一定期的に開かれているけれど、合評会ではないもんなぁ・・・
(3) 文芸誌という「発表会」……(1)(2)を踏まえた上で考えると、純文作家にとっての文芸誌はピアノの発表会。日頃のレッスンの成果を見せる晴れ舞台のようなものです。文芸誌を出すことで自身の作品を客観視するさきがけとはえらい違いです。さきがけにとっては文芸誌を出すことがレッスンみたいなものだから、純文作家から見れば、こんな練習曲を本番で引くバカが居るかよって話しなんでしょうねorz
■さきがけ文学会とは
樋脇さんは「固定の先生を持たずに文芸サークルが成り立っているとはどういう事なのか?」と前々から疑問だったようなので、「先生を持たないからこそ、文芸誌という形で作品を個人から切り離し、客観視する事で自ら作品を研磨するようにしている」という事と、「敢えてジャンル多岐にすることにより、自身の表現に最も近いジャンルを探すことや、敢えて詩や小説で表現する理由を自身で固められるようにしている」と伝えました。
その他では、城南高校文芸部が前身として存在しているが、立ち上げ以降の入会者は全員城南高校文芸部とは無関係の知人・友人ばかりであること。サークルの目標としては定期発行して書きつづける事にあること(質は問わないこと)などをお話ししました。
■厳しい指摘
指摘された中で結構きつかったのが、樋脇さんから「先ほどから書き手の為、書き手の為と言っているけれど、読み手の為に何か工夫していることは無いのか?」と言われたことでした。
「あなたは自分の文芸を通して、読者をどうしたいと思っているのか?」
樋脇さんは「小説は普遍的なものだ」といい、縦の普遍性(いつの時代に読んでも、心が打たれる作品)と、横の普遍性(一つの時代でしか理解されないが、年代を問わずに誰もが心打たれる作品)があると言いました。
自分の心をより正確に自己表現していくことも大切だけれど、読み手の気持ちを無視してただ自分の溢れる想いを書きなぐるだけの作品は、縦にも横にも普遍性はない。
そんな作品だったら、わざわざさきがけのような立派な装丁で発行する必要はないのではないか?(コピー本やノートの端、ネットで書きなぐって終わっていればいいのではないか)
また、最近の若い人の傾向にオノマトペ(擬音)の多用が見られる。カーンとかズキズキと言った表現を多用すると、文章が幼稚になる。(例・ズキズキした→脈打つような痛みが続く)
それでも、オノマトペを聞いて「的確な表現だ」と納得できるものならまだいい。ズガァアアアンッ!やドゴォォォン!と言った、長い文字数を使って戦闘シーンなどを誤魔化している作品などは小説以前の問題だ、等の話も聞きました。これは全く持ってそうだと私も思います。
■反省文の存在について
上記の厳しい指摘と関係していくのですが、樋脇さんはどこまでも「反省文」の存在を疎ましく思っていたようでした。「内容が完全に内輪で、わざわざ本にしてまで表現する必要性を感じない」だそうです。これはちょっと気になったので「でも私は例えば樋脇さんが反省文のようなものを巻末に書くのであれば、喜んで読むと思うのですが?」と切り返したのですが、「それは私の作品が私から独立して一つの作品となってるからこそ、裏の顔に該当する反省文が大きなギャップなって面白いだけでしょう。冊子に掲載されている作品が読み手を無視した自己満足な小説なのに、更に反省文まで読み手を無視した内輪の内容なら、ギャップもないので面白みはなくなる」と返されてしまいました(´Д`;)ふぉー、厳しい。
正直なことを言えば、反省文は100%書き手の為のコーナーです。私は消す必要はないと思ってます。ですので、本文作品の方を読み手重視にして、その樋脇さんの言う「ギャップ」を持たせるよう努力していくしかないでしょう。でもこの指摘は本当に嫌そうにされたので、これからの反省文は文字数減らそうかな?と考えてます。
■さきがけの缶詰について
逆に同じ内輪ネタだろうと思っていた蘖3号の「さきがけの缶詰」は大絶賛でした。
樋脇さんは、蘖3号を読むまで私たちのことを完全に読者を無視したただの内輪サークルだと認識していたようですが(酷い…)、缶詰を読んで吃驚したと言っていました。「ここまで他人の作品を読み込み、それを読者に分かりやすく表現する力を持つのに、どうして普段からそうしないのか」とまで言われました。絶賛すぎて吃驚です。
チラッと樋脇さんの手元にあった蘖3号を見ると、鉛筆でこれでもかという程書き込まれていて(ひぇー)、霧谷のあの缶詰には二重丸(◎)がつけられていました。特に霧谷のあの感想は「私は詩の読み取りが苦手なのだけど、これを読んですごく理解できた」と大絶賛でした。
「でもそれは内輪ネタですし、ついていけないとは思わないですか?」と念のため聞いたのですが、「そんなことはない!すごく興味深く面白かった!」と本当に心から面白かった様子。
さきがけの缶詰は蘖3号をもって廃案する予定でしたが、蘖だけでも復活して良いのではないかな?と思わされた出来事でした。
■余談~ゆうやの小説について~
完全な蛇足なのですが、私の小説に感想が頂けました(゜Д゜*)さすが小説書きだぜ
今さらな話ですが、樋脇さんは自身が小説書きというのもあり、さきがけ・蘖は、缶詰と散文と反省文しか読んでおらず、感想もその3つのジャンルでしか返せないとの事でした。
それでも「静かな潮騒」と「虹色クレパスと悲しい犬」と「アンハッピーレイン」は、表現力があって良いと評価を頂きました。特に「静かな潮騒」の青年が抱く閉塞感がとても伝わってきたとのこと。
ただ結末を突飛なものにして無理やり終わらせるのはやめた方がいいと言われました(=ω=;)反省します。
■今回の取材を元に出来上がった記事について
今年10月発行予定の「文学館倶楽部」にて掲載されます。取材お礼として原本を頂けるとのことで(100部でも200部でも良いと言われましたw)、謙虚に30部だけお願いしました。
なお、私たちが紹介される「クローズアップ」というコーナーはA2ぐらいに大きく拡大&カラーにして、総合図書館と文学館に飾るそうです。
また、原稿を提出する前に、私たちに一度草案を送るそうなので、何かしら不都合な記事にされていた場合は訂正がお願いできます。草案が届いたら、できる限りお知らせしますね。
■今回の取材で思った事
樋脇さんは結構天然な方で、あれだけ厳しい指摘をした帰り道は、車のエンジンの話題や、秘宝館の話題で盛り上がりました。
厳しい指摘はするけれど、根は悪い人じゃないのかな、と言った感じです。
ただ、取材の間中も「文芸を追及するからには、人から評価されたい、より高みに上り詰めたい、読者の気持ちを大きく揺らがせたいという気持ちはあるだろう」と何度も言っていて、文学賞の話題を絶え間なく出していたのを聞いていると、最終目標として見ているものが違うのかな?とは思いました。でもこの価値観は人それぞれなので、個人差として受け止めようと思います。
「読者の気持ちを考えてない」と言われた時は、正直腹が立ったのですが、これも散文や反省文などの「作品」の事を言っているのであって、別に私たちのサークルを読者を考えてないサークルだとか、私たちの本が読者の気持ちを考えてない本だと言われた訳ではないので、素直に作品の向上に努めようと思います。(←そう野生ちゃんに諭された)
今後の「さきがけ」は今まで通り自己表現の鍛錬に。「蘖」は読者を意識した作品づくりを目的に進めていけたらいいな!
よし、報告終わり!続きは定例会で!疲れた!

ほんまに、お疲れ様でした!m(_ _)m
お疲れ様でした(>_<)